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うつ病・うつ状態について

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Ⅰ 頻度: 

うつ病は、年齢、人種、国籍、職業、収入水準、性別に関係なく、誰にでも起こり得ます。人生のある時点で、アメリカ人は4人に1人の割合で、うつ病の発症を少なくとも一度は経験しています。

ヨーロッパ6カ国、ベルギー、フランス、ドイツ、オランダ、スペイン、イギリスの市民78,463名を調査して、6ヶ月間のうつ病の有病率はうつ病8.7%、うつ状態8.3%、合計市民の17%がうつ病、うつ状態とみなされた。

WHOによれば2010年頃から先進国ではうつ病が癌、脳卒中を超えて医療の中心になる。

Ⅱ 診断: 

ICD-10)
(a) 集中力と注意力の減退
(b) 自己評価と自信の低下
(c) 罪責感と無価値観
(d) 将来に対する希望のない悲観的な見方
(e) 自傷あるいは自殺の観念や行為
(f) 睡眠障害
(g) 食欲不振
*

次のどちらかが該当する場合

A1 この2週間以上、毎日のように、ほとんど1日中ずっと憂鬱であったり沈んだ気持ちでいた
A2 この2週間以上、ほとんどのことに興味がなくなっていたり、大抵いつもなら楽しめていたことが 楽しめ なくなっていた
* A1またはA2のある方で、(a)〜(g)4項目の症状が2週間持続している(劇症の場合は短い)(私自身は上記の2-3項目に他の症状があればうつ状態と考えています)
* 日内変動と不眠が重要(朝のうちが具合悪く、夜になると少し元気になる、又は朝2時間くらいいつもより早く起きてしまうか他の不眠症がある)

認知療法的うつ病の特徴

自己に対する絶望、周囲に対する絶望、未来に対する絶望

Ⅲ 治療: 
精神療法

安静(休養)が大切:精神的な安静とは義務、責任を放棄すること

薬物療法 
(a) SSRI
効果は三環系と同等で、副作用が少ない。特に太らないこと、便秘にならないことは若い女性患者を中心に抗うつ剤が使いやすくなりました。

Ⅳ 治療SSRIの適用拡大: 
SSRIは抗うつ剤としてのみならず、様々な適応が拡大しつつあります。

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